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PGH キャップ&フローレンス・ガーランド DK12

ローラの学校の先生だったフローレンス・ガーランドは、1880年当時、18歳で、デ・スメットの公立学校の最初の教師でした。その学校は資材も労働も、町の人々のボランティアによってたてられたもので、先生の給料はひと月に20ドルでした。 フローレンスは1887年に材木商だったチャールズ...

2014年2月24日月曜日

PG39 自然のある暮らし

長い冬の危険が去ると、とうさんは町の家を売って、インガルスは開拓農地へと移りました。「パイオニアガール」からは、農地での暮らしに戻ったときの喜びが伝わってきます。町の生活は仮住まいで、ローラは心から自然を身近に感じる暮らしを愛していたんだな、としみじみと感じます。


出版作品では、インガルスの開拓農地の周りには、誰も 住んでいないかのように描かれていますが、実際は、近隣には何人かの入植者がいて、おつきあいがありました。とうさんが現金収入をえるために働いているときは、雇人に農地を任せたりしています。出版作品で近隣の人々を割愛したのは、インガルスを孤立させて、独立自尊を強調するためだったとある研究者はみています。


いずれにしても、ローラは入植者よりも、大自然に生きる動物や植物とのほうが、相性がよかったようです。出版作品同様、「パイオニアガール」でも、大草原に咲き乱れる花々や、ガーターヘビ、ゴーファーといった小さな生きものが、いきいきと描かれています。
自然に興味のない人には、ただの何もない空間が、ローラの眼を通してみると、不思議に満ち溢れた美しい空間となって、映画のように映し出されます。


普通の人が見過ごしてしまうようなありふれたものにも、ワイルダーは目を配っていました。その鋭い観察眼が、彼女特有の緻密な描写を生み出したのでしょう。