七か月も続く長い冬の間、インガルスは町の家で過ごしました。「パイオニアガール」によると、その家にはジョージとマギーという若い夫婦と生まれたばかりの赤ん坊が同居していました。出版作品ではこの夫婦は割愛されています。この二人はできちゃった婚でした。
ジョージは、ローラの先生だったサム・マスターズの息子でした。サムは女の子の手を握る癖のある先生で、その息子ですから、どんな人間だったかは推して知るべし。猛吹雪に閉じ込められ、食糧も乏しくなったとき、その人間の本性があらわれます。ジョージは同居するには好ましい人間ではなかったようで、同居人というよりも、「金を払うのだから」と間借り人のようなふるまいをしていました。「パイオニアガール」には、彼のふるまいや批判が詳しく述べられていて、どうやらローラは彼に切れたようです。
それと同時に、「パイオニアガール」には、デ・スメットの人々が、長く厳しい冬の間、協力しあい、普段と同じように快活に過ごしていて、けっして挫けず、大きなトラブルもなかったことも、誇らしげに述べられています。それに愛する女性のために吹雪をくぐりぬけた男性の悲劇も描かれています。
手元に資料がないので、はっきりとは言えないのですが、その長い冬の経験者の一人は、デ・スメットでは吹雪の合間をぬって、近くの町へ食べ物の買い出しにいき、皆で分けたと、後年、語っていたはずです。この買い出しは、アルマンゾとキャップが買い付けた小麦とは別の話だと思いました。
「長い冬」では汽車が雪に埋まる話があります。こちらでその写真が見られます。