「シルバーレイクの岸辺で」には、冬の訪れとともに鉄道の飯場が取り壊されて、誰もいなくなったシルバーレイクの測量技師の家で過ごすインガルスの暮らしが描かれています。
同じような話が 「パイオニアガール」にもあります。ローラとキャリーが月夜の晩にオオカミに出くわしたのも、ボーストさんと過ごしたクリスマスや新年のお祝いも、チェッカーを楽しんだのも、みな同じです。
測量技師の家で過ごした冬、インガルスはとうさんのバイオリンに合わせて、たくさんの歌を歌いました。とうさんの好きな曲Sweet By
and Byもその一つです。この讃美歌が、とうさんの葬式で演奏されたのはよくしられていますが、その情報元は「パイオニアガール」のようです。
原作と異なっているのは、原作ではシルバーレイクの辺りには、インガルスしかいないのに、実際には何人かの入植者がいて、インガルスの暮らしていた測量技師の家には、独身の男性が同居している点です。「長い冬」でも同居していたカップルが割愛されています。ある研究者は、ワイルダーやレインが、独立や自由を強調するために、故意に同居者を省いたとみています。
小さな家シリーズの創作に関与したローズ・ワイルダー・レインがリバタリアンだったこともあり、小さな家はアメリカのリバタリアンに大きな支持を得ています。長い間、日本では、小さな家は「理想の家族」と捉えられてきたのに、最近はリバタリアンと結び付けて見られるようになったのは、興味深いです。
Sweet By and Byはこちらで視聴できます。これはミズーリ州マンスフィールドのワイルダー記念館で開かれた演奏会で、とうさんのバイオリンで演奏されました。