2015年3月18日水曜日

PGH メアリの失明 WG4

「パイオニアガール」には、メアリーの失明についてこのように書かれています。

メアリーが突然、頭痛を訴えて瞬く間に病状が悪くなり、一時はもう回復しないのではないかと思われた。メアリは高熱におかされてうわごとを言っていたので、かあさんは涼しくなるようにと長い髪を切ってしまった。ある日、メアリーの顔をみると、発作のため片側はひきつれていた。(かつて暮らしていたウィスコンシンの家の前には二本のオークの樹があった。一本はローラの樹で、もう一本はメアリーの樹だったが)、メアリーの樹は雷にうたれてしまった。メアリーのひきつれた顔は、そのウィスコンシンの樹を思い起こさせた。発作の後、メアリーは回復に向かったが、眼がよく見えなくなった。ホイト医師とウェルカム医師に診てもらったけれども、発作によって神経がおかされてしまい、どうすることも出来ないと言われた。メアリーの病気には長い名前がついていた。十分に回復しなかったはしかが原因だった。メアリーが回復するにつれて、視力は弱くなり、とうとう何も見えなくなってしまった。最後にメアリの見たものは、椅子につかまってメアリーを見上げている、グレイスの青い眼だった。

注釈によると、1879年4月29日付けのレッドウッド・ガゼットという地元の新聞がメアリーの症状を報告しています。「ひどい頭痛を訴えて十日間ほどふせっていて、脳出血を起こしたようで、顔の片側に麻痺している」
三週間たってもメアリーは回復しませんでした。でも、6月12日付の記事は、「ゆっくりと回復に向かっていて、視力も良くなっている」と報告しているので、一時的には視力も良くなったようです。けれども、6月26日付けの記事は「健康を取り戻しているが、視力は回復せず、はっきりとものが見分けられなくなっている。昼と夜の違いはわかるが、このかすかな視力も落ちている」

「パイオニアガール」には、「ウェルカム医師がメアリーを診た」と書かれていますが、注釈には、インガルスの要請を受けてウェルカム医師が来たのかどうかはわからないとあります。ウェルカム医師は親子で医者でした。父親の方は鉄道会社の外科医で、ときおりウォルナットグローブにも立ち寄っていたので、そのときに診た可能性もあるのでは、と推測しています。


チャールズ・インガルスとキャロライン・インガルスは、メアリの視力を回復させるために全力を尽くしたようで、「メアリーをセントポールへ連れて行く予定である。まったく見えなくなってしまったが、彼女は辛抱強く、それを受け入れている」と新聞は記しています。

1937年、ワイルダーはレインに、「あとで聞いたところによると、シカゴの専門医に診てもらったとき、視神経が麻痺しているので、直る見込みはないといわれたそうよ。医師に診てもらうにはお金がかかるでしょう? 医療費にいくらかかったのか知らないけれど、鉄道で働いていたとうさんは、医師への支払いのお金を家に送って来たの」と話しています。

「シルバーレイクの岸辺で」では、ドーシアおばさんがとうさんに、鉄道会社の仕事の話を持ちかけたとき、かあさんは反対しています。けれども、「パイオニアガール」では賛成しています。なぜ賛成したのかは描かれていません。でも、その仕事を受ければ、医師の支払いが出来るからではと、注釈がつけられています。


 ワイルダーはレインに、「メアリーは脊柱か何かの病気があった」と話していますが、現代の専門医は、メアリーの病気は、はしかやしょう紅熱によるものではなく、ウィルス性の脳炎だったと結論づけています。しょう紅熱では失明しないのも解明されています。


「シルバーレイクの岸辺で」では、メアリーの失明はしょう紅熱になっています。実際にワイルダー とメアリー・インガルスは1874年にしょう紅熱にかかっていました。でも、ワイルダーとレインの間で交わされた手紙などを検証した結果、ヒルは「しょう紅熱にしたのは偶然からではないか」と推測しています。メアリの失明をどう描くか話し合っていたとき、レインの手紙にこう書かれているからです。
「それはたいへんな時だった、グレイスが生まれて、ジャックが死に、メアリーが病気になって、・・・しょう紅熱だっけ? どれもプラムクリークの巻とこの巻との間に起きたのよね」

しょう紅熱は「若草物語」などでも知られているため、ワイルダーとレインは、はしかよりも良いと判断したのではないか、とヒルは推測しています。