2015年3月13日金曜日

PGH マスターズ WG2

インガルスが経営していたバーオークのホテルの扉には、弾丸の跡がありました。以前の所有者だったマスターズさんの息子のウィルが酔っぱらって、逃げる奥さんをめがけて銃をぶっぱなしたからです。そのマスターズさんはウォルナットグローブに移住して、ホテルを経営していました。ウィルも一緒でした。

このマスターズ家は、かなりやっかいものだったようで、「パイオニアガール」にはさまざまなエピソードがあります。

マスターズさんの兄弟の、サム・マスターズはローラたちの学校の先生でした。先生は背が高くひょろっとしていて、息も臭く、頭も禿げていました。その先生には、いやらしい癖がありました。話す時に顔を近づけて来て、女の子の手を握ってなでまわすのです。
あるとき、先生はローラの手をとりました。ローラは握っていた針をすばやく上に向けました。それからは、ローラの手を握ることはなかったそうです。


ネリー・オルソンは三人の実在の人物を基に創り上げた創作上の人物です。そのうちの一人はネリー・オーエンズで、もう一人は、サム・マスターズ先生の娘ジェネヴィーブ・マスターズでした。 彼女はいつもきれいなドレスを着ていて、ニューヨークから来たからと、ほかの女の子たちを見下していました。舌足らずのしゃべり方をして、自分の思い通りにならないと、泣きわめいたり、うそ泣きをするので、ネリー・オーエンズ以外の女の子たちは、彼女のごきげんをとるのに必死だったといいます。


ジェネヴィーブ・マスターズはニューヨークの生まれで、ワイルダーと同い年でした。ダコタ・テリトリーのピエールでカレッジに行き、卒業後は教師をしていました。一八八八年に会計士のウィリアム・レンウィックと結婚するとシカゴへ移住。不幸にも 四十一歳という若さで他界しました。お墓はデスメットにあります。

「パイオニアガール」にはジェネヴィーブの写真も載っています。女優さんのようにあか抜けた美しい女性で、男たちの熱い視線を浴びていたに違いありません。今なら芸能プロダクションからスカウトされるかもしれません。そのくらい綺麗な女性です。
 「パイオニアガール」では、村の女の子の容姿について、茶色い眼だったとか、美しい髪をしていたとか、いろいろ書いてあります。ところが、ジェネヴィーブの容姿にはひと言も触れていません。 その沈黙に、ワイルダーの「女」の部分を感じとってしまうのは、私だけでしょうか?

ジェネヴィーブのお墓はこちらから。