「プラムクリークの土手で」には三回クリスマスの話があります。一回目は、かあさんのクリスマスの話を聞いたローラとメアリが、とうさんに馬をお願いするクリスマス、二回目はオルデン牧師の教会で、ローラがケープとマフのプレゼントをもらったクリスマス、三回目は行方不明になったとうさんが、家に戻って来るクリスマスです。
「プラムクリークの土手で」では、インガルスはシルバーレイクに移住するまで、同じ土地で暮らしていますが、実在のインガルスはアイオワのバーオークに移住しています。「小さな家」シリーズではバーオークは割愛されているため、クリスマスの回数があいません。そこでワイルダーは、実際は一回目のオルデン牧師の教会のクリスマスを二回目にして、一回目のクリスマスの話を創り上げたとヒルは注釈で述べています。クリスマスの馬となったサムとデイビットは実在しましたが、クリスマスの馬ではありませんでした。
また、三回目のクリスマスも史実にヒントを得た創作です。下書きの「パイオニア・ガール」には吹雪に巻込まれた男性が穴をほってそのまま眠ってしまい、春になって発見された事件があります。その男性が誰なのか、どこで起きたかは触れていません。
けれども、ほかの版の「パイオニアガール」では、行方不明になった男性は近隣の住民で、インガルスの納屋の近くで発見されたとなっています。
そして「プラムクリークの土手で」では、行方不明になったのはとうさんで、インガルスの家のすぐ近くで数日間を過ごしてから、無事に家に戻って来たとなっています。
「パイオニア・ガール」では、何度も猛吹雪に襲われた、空をみて猛吹雪の前兆がわかるようになったなった、とうさんは家と納屋にロープを渡して、それにつかまりながら行き来した、ストーブのパイプから火の玉が転がりだして来てとうさんが電気だと教えてくれた、という記述があります。どこかできいたことのあるエピソードですよね。
ワイルダーはこれらのエピソードに手を加えて、「小さな家」シリーズで使っています。