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PGH キャップ&フローレンス・ガーランド DK12

ローラの学校の先生だったフローレンス・ガーランドは、1880年当時、18歳で、デ・スメットの公立学校の最初の教師でした。その学校は資材も労働も、町の人々のボランティアによってたてられたもので、先生の給料はひと月に20ドルでした。 フローレンスは1887年に材木商だったチャールズ...

2015年1月31日土曜日

PGH マーサおばさんといとこたち

「パイオニア・ガール」では、インガルスがペピンに暮らしていたとき、マーサおばさんの家に遊びに行くエピソードがあります。マーサはキャロライン・インガルスの姉で、二歳年上でした。

マーサは十四人の子どもがいましたが、「パイオニア・ガール」に登場するのはその半分です。ローラたちが家につくと、幼いいとこと双子の赤ん坊の三人だけで、あとは皆、学校に行っていました。その学校は、彼ら以外、スウェーデンの子どもたちばかりで、いとこたちはスウェーデン語も英語も出来たそうです。(ペピンの近くにストックホルムという町があるように、あの辺りはスウェーデンの移民が多かった)。

食事に戻って来たいとこたちと、お昼を食べ終えると、ローラとメアリも一緒に学校に行きました。校庭では、男の子も女の子も雪合戦をやっていて、ローラも加わります。そのときのエピソードはローラの性格をよく表わしています。

ガスという男の子がローラをつかまえて、雪でローラの顔をこすったのです。ローラは逃げようとしましたが、ガスは放してくれません。ガスはもう一度、ローラの顔を雪でこすろうとしました。ガスの指がローラの口のあたりに来たそのときです。ローラは思いっきりガスの親指を噛んだのです。 ガスは悲鳴をあげて、指をふりほどくと親指から真っ赤な血が流れ出ました。いとこのウィルは、ローラを見て,次にガスの親指をみていいました。
「ガス、これでローラのこと、かまうなってわかっただろ?」
ガスがどこの誰だかわかっていません。注釈は「ミステリー」となっています。

また、次のエピソードからは、ローラがどんな躾を受けていたのか、垣間見えます。
マーサおばさんの家のロフトでローラとメアリがいとこと遊んでいると、大騒ぎになりました。ウィルがナニーの髪の毛をひっぱったのでナニーが泣き出し、ローラがジョーの顔をひっかいたのでジョーがローラを追いかけまわし、 メアリとレッティがジョーを捕まえようとしたのです。するとマーサおばさんが、かあさんに言いました。

「上に行って子どもたち全員のおしりを叩いて来てちょうだい。そのあと私も行くから」

ウィルとジョーはお行儀が悪かった、ナニーは泣いたから、ローラはひっかいたから、メアリとレッティは騒ぎを大きくしたからと、かあさんが皆のおしりをたたくと、 静かになったのでマーサおばさんの出番はなかったそうです。

注釈者ヒルは、「読者はキャロラインの別の側面を見るだろう。「小さな家」シリーズのかあさんよりも、実在のキャロラインは躾にはかなり厳しかった」と書いています。
最近の北米では、手をあげるのはもちろん、おしりを叩くのさえ良くないとされているのでそう感じるのかもしれません。私の同僚にも、親に叩かれたことがないという人がけっこういます。
でも、昔はそれが普通で、かあさんの躾はとりたてて厳しくなかったのでは、と個人的には思います。

マーサの写真はこちらから

2015年1月30日金曜日

PGH 金髪と茶色の髪とロティおばさん

「大きな森の小さな家」では、インガルスが町に買い物にいく話があります。そのとき、ペピンの雑貨店のご主人は、メアリのきれいな金髪の髪を誉めたのに、ローラの髪は「汚い茶色」なので触れませんでした。
メアリがロティおばさんに金髪と茶色とどちらの髪が好きか訊ねたときも、茶色の髪のローラは、ロティおばさんが答えるまで、みじめな気持で待っていました。
 ロティおばさんが帰ったあと、木ぎれを集めているときに、茶色より金髪の方がきれいだといったため、メアリをひっぱたいたローラは、とうさんにおしおきされます。そして「とうさんの髪も茶色だよ」といってもらって、ようやく落ち着きを取り戻します。 ワイルダーは、「小さな家」シリーズのローラに、金髪コンプレックスを持たせています。

 でも、「パイオニア・ガール」では、メアリはロティおばさんに髪について訊ねません。木ぎれを拾っている時に髪の色のことでケンカして、とうさんにおしおきされる話はありますが、とうさんがローラを抱きながら「とうさんの髪も茶色だよ」というセリフもありません。その代わりローラを抱いたとうさんは、「とうさんと森の声のおはなし」をしてくれました。幼いとうさんが、牛を連れて帰るときに道草をくって暗い森で怖い思いをした話で、「大きな森の小さな家」では三章の「長いライフル銃」に描かれています。

ワイルダーはメアリをひっぱたいたケンカのエピソードを「小さな家」の出版前に、あるエッセイで詳細に描いています。この一件はかなりワイルダーの心を傷つけたようです。髪の色ではなく、両親がメアリの話だけきいて、自分の言い分を聞いてくれなかったことに対して。両親への不満も垣間見えるエッセイです。


インガルスの家へ遊びに来たロティおばさん、Charlotte E. Holbrook(1854-1939)は、キャロライン・インガルスの異父妹です。 キャロラインの父親は、彼女が幼いときに船の事故で死亡したため、キャロラインの母親は五年後に再婚しました。ロティは彼らの唯一の子どもでした。インガルスの家を訪問したときロティは十二歳でした。きっとローラやメアリに会いに来たのでしょう。ロティおばさんは、かあさんと近い年齢だと思っていたので、実年齢を知ったとき意外でした。






2015年1月29日木曜日

PGH ドーシアおばさんとルビイおばさん

「大きな森の小さな家」のじいちゃんのダンスパーティーでは、ドーシアおばさんとルビイおばさんが、パーティのために髪を結ったり、コルセットを締め上げる話があります。
そのルビイおばさんはチャールズ・インガルスの妹で、一八三八年に生まれ、結婚してまもなく二十五歳の若さでなくなりました。

ドーシアおばさんは一八六◯年代半ばに結婚して、レナとオーガスト・ユージン(出版作品ではジーンと呼ばれている)の二人の子どもをもうけました。けれども、息子が生まれてまもなくドーシアの夫は、彼らの家に入ろうとした人を射殺したため刑務所におくられました。そのためドーシアは離婚して実家に戻りました。(たしか、その後、再婚したと思いました)。

ジョージおじさんが南北戦争によって人が変わってしまい、雌牛を盗んで逮捕されたエピソードは、「パイオニア・ガール」のある版に含まれています。でも、ドーシアの離婚の話は、「小さな家」シリーズにも「パイオニア・ガール」にもありません。注釈者のヒルは、ワイルダーにとって、ドーシアの生き方は口に出すのがはばかられたのだろうと推測しています。
そして、「シルバーレイクの岸辺で」で、かあさんが「レナはいい子だけど気性が激しくて無鉄砲なのに、ドーシアは直してやらない」と述べているのを指摘して、ワイルダーがどのようにドーシアおばさんを見ていたのかヒントがあるとしています。

ドーシアおばさんの写真はこちらから