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PGH キャップ&フローレンス・ガーランド DK12

ローラの学校の先生だったフローレンス・ガーランドは、1880年当時、18歳で、デ・スメットの公立学校の最初の教師でした。その学校は資材も労働も、町の人々のボランティアによってたてられたもので、先生の給料はひと月に20ドルでした。 フローレンスは1887年に材木商だったチャールズ...

2014年4月6日日曜日

PG54 独立記念日2

「大草原の小さな町」には、デ・スメットで行われた独立記念日の式典にとうさん、ローラ、キャリーが参加して、ローラが自由に目覚めるくだりがあります。自由と独立は「小さな家」の大きなテーマですから、ローラが自由に目覚めるくだりは大きな意味を持ちます。
この部分はローズ・ワイルダー・レインが手を加えたと言われています。リバタリアンだったレインは個人の自由を唱え、納税は自由の侵害だと、所得税にも反対していました。今、彼女が生きていたら、茶会(Tea Party)の先頭にたって国民皆保険に反対していたでしょう。日本で刊行されているレインの伝記「大草原のバラ」は、ローズを自由主義者と紹介していますが、一般的に日本でいう自由主義者はリベラリストです。ローズはリベラリストではありませんでした。リバタリアンをあえて「自由主義者」と訳したのは、執筆者と訳者の政治的見解なのかもしれません。


また、「農場の少年」の独立記念日の章でも、とうさんが、アメリカの成り立ちと農夫の誇りをアルマンゾに教えています。
「小さな家」シリーズで独立記念日は特別な大切な日と描かれています。


ところが「パイオニア・ガール」では、ウォルナットグローブでの独立記念日の式典にはふれていますが、デスメットでの独立記念日の演説もローラが自由に目覚める話もありません。別の年の独立記念日には触れてはいますが、原作同様ローラとアルマンゾは式典には参加しません。その日の午後、二人は馬車のレースを楽しみ、晩に花火を観に出かけていて、新調したばかりのドレスや、馬のバーナムとスキップの描写が続いています。


「小さな家」にはニューディールに反対だったワイルダーとレインの政治的見解が流れていると言われています。でも、「パイオニア・ガール」の執筆時には、政治的なイデオロギーを埋め込むのを考えていなかったことがうかがえます。